目次
- 「魔女の家」考察(1):注意事項等。
- 「魔女の家」考察(2):本記事。主要キャラクターの考察。
- 「魔女の家」考察(3):魔女の家・先代魔女の考察。
- 「魔女の家」考察(4):魔女の家の仕掛け・住民についての考察。
- 「魔女の家」考察(5):ゲーム中の設定に関する考察。
- 「魔女の家」考察(6):ゲーム外の設定に関する考察。
エレンについて
エレン(人間時代)
- 薄紫のロングヘア、金の瞳の少女(7歳)。皮膚病等で顔や足がただれていた。
- 家族は両親(父親・母親)のみ。
- エレンは路地裏のスラム街に住んでいた。
- エレンにとっての愛とは?
- 母が自分に向けたものであり、母が捨てた仮初のもの。
- 父が母に向けたものであり、「生」、言い換えれば「本物の愛」を与えるもの。また、エレンの嫉妬の対象。
- 母が自分を愛する限り、自分が母に向けたもの。あるいは、母に愛されるための条件。
- 母がエレンを愛するのを止めたとき、エレンが母を愛する理由も失われ、嫉妬と憎しみから「女」を殺した。
- 父がエレンに見向きもせず、自分が愛されないことを証明し続けたことから、エレンは父も殺した。
- 「(母の)甘い香り」は、エレンにとって絶望だった。
- 恐らく、エレンは愛される希望(自分を愛する可能性のある両親の命)を自ら摘み取ったから。
- 言い換えれば、母の存在は、自分が愛される可能性が一切ないことを突きつけるものだったから。
エレン(魔女時代)
- エレンは魔女の家では健康な身体で居られた。しかし、家の外では病気の姿に戻った。
- エレンは元々、愛されるためには人を人とも思わない「けなげさ」があった。
- エレンは「愛される」ために「病気の体を治す」必要があり、そのために「人殺し」が必要なら躊躇しなかった。
- エレンは愛が具体的に何かは知らなかった。それは病気の体を治せばそれが手に入ると期待される「何か」だった。
- その「何か」は、「彼女の身体の中にとどまり、彼女を満たす、温かなもの」というように言及されている。
- 少年と育んだような自然な愛情も「本物の愛」ではないと認識し、倫理観を失っていった。
- 人を「友達(餌)」と認識するようになり、家の与える恍惚感からも、残酷な人殺しを好むようになった。
- エレンは、ヴィオラが愛される少女であること、彼女を愛する人間が居ることを嬉しく思った。
エレン(ヴィオラの体)
- エレンはヴィオラの父親に対して「妖艶」な笑顔を浮かべていた。
- つまり、父親に対して肉体関係も含む愛を望んでいたと予想される。
- エレンは「本物の愛」とは何かを知らなかった。ただ、それが自然な愛情ではないと考えていた。
- 黒猫が「要領はいい」と言ったように、最初はヴィオラが享受していた愛をなぞるかもしれない。
- ただ、それでは満足せず、エレンは自然な愛情を超えた、性的な接触を含む過激な行為に走る可能性が高い。
- 果ては自分のために死んでもらう(あるいは心中する)ことまで望むことも考えられる。
- 黒猫は最終的に以下のような推測を述べている。
- 「エレンか(ヴィオラの)父が壊れる」
- 父が正気を保つ場合、エレンは「(病気が治っても)愛を得られないんだ」と言って壊れるかもしれない。
- エレンが狂気を保つ場合、父は「娘の豹変に耐えられない」と言って壊れるかもしれない。
- 「そのとき笑っているか泣いているか分からないが、黒猫に何か言ってきそう」
- エレンが過激な愛情の結果、「愛を得られた」と笑うかもしれない。
- あるいは、「愛を失った」「一生愛されないと分かった」と泣くかもしれない。
- いずれにせよ、愛を得るために必要な何かを実現する力(金や容姿、能力等々)を求めそうではある。
- 「そのとき、黒猫はエレンには興味を持てないだろう」
- エレンが黒猫にとって魅力的だったのは、エレンが愛されようとして、愛への認識が歪んでいく過程。
- 具体的には、自然な愛情が信じられなくなり、人殺しで愛を得る可能性を摘むようになった。
- 最終的には、人を餌としか見ず、自分も人とは思わない(ただ食べるだけの存在と思う)までになった。
- エレンの愛に対する歪みが人格破綻という極限まで達した以上、それ以上愛が歪むことは考えられない。
- エレンの愛情表現が過激だったとしても、それは歪みきった愛の発露である。
- 言い換えれば、それ以上エレンの心が変化する(歪む)ことは期待できなかった。
- エレンが黒猫にとって魅力的だったのは、エレンが愛されようとして、愛への認識が歪んでいく過程。
- 「エレンか(ヴィオラの)父が壊れる」
ヴィオラ(及びその周辺)について
- 金髪碧眼の少女(13歳)。髪を三つ編みにして、白のエプロンドレスを着ている。
- ヴィオラの仕事は家の手伝い(洗濯、料理等)。午前中には終わる。午後には暇ができて、森での花摘みが趣味。
- ヴィオラにには、家に泊めてもらえる程仲が良い友だちが村にいる。
- ヴィオラの家は木造の内装で二階建て、三角屋根、白塗りの外装をしている(漫画版)。
- 家族は父のみ。猟犬を飼っている。父は猟銃を持っている。父は朝早くに家を出て、日暮れ頃に家に帰る。
- 母親を「早くに亡くして」、父は男手一つでヴィオラを育てた。
- 村に住んでいる上、父は狩猟でほぼ一日家を空けるが、一人娘の世話のために同居している親戚等はいない。
- ヴィオラが小さい頃だけ、親戚や近所の人、村の養護施設等に預けていたかもしれない。
- 村(自宅の遠く)には畑がある。
- エレンと体を入れ替えることになる。
- その後、エレンを「ここから出したくない」という理由でエレンを閉じ込めた。
- ヴィオラの動機は「エレンを殺す」でも「身体を返してもらう」でもない、と否定している。
- 最終的にヴィオラの父に殺されることで絶望し、死ぬ(消える)。
- 時間経過でも、病気の身体に耐えきれずに絶望して死ぬ。
黒猫(の悪魔)について
悪魔になった経緯
- 生前の黒猫の設定の整理。
- 黒猫は「雪国の寒いところで生まれた」という描写がある。
- 黒猫は父を持たず、そして母が「人間のせいで」殺されたという描写がある。
- 黒猫は怒りが人間への食欲となったと述べている。
- 黒猫は悪魔になった。カラスは黒猫を導いた。
- ここから想像されるのは以下のような内容である(ほぼこじつけ)。
- 黒猫は(恐らくその家族も)空腹な子供だった。
- 「人間」とは、黒猫の父のことだった。
- 父は空腹に耐えきれず、口減らしのために母親を殺し、あまつさえそれを食べようとした。
- 子供を優先的に殺さなかったのは、子供は少食であることや、母親が妊娠した等の理由が考えられる。
- 黒猫は愛する母親を奪われたことに怒りを感じ、父を殺すとともに、人間全体への復讐心を持った。
- これはエレンが母親を「女」と捉えるようになって殺したこととシンパシーがある。
- 黒猫は父がした行為を非道だと思うとともに、それが人間への復讐を果たす最高の行為だと思った。
- つまり、人間を食べたいと思うようになった。
- 黒猫は「人間を食べたいと思うと悪魔になる」という主旨の発言をしている。
- そうだとすると相当数の悪魔が生まれるだろうと思われる。
- そうではないのは、導きがなければ、その多くは魂不足で消えるからだと思われる。
- カラスが黒猫を導いたのは、エレンに同情したという解釈が事実なら、黒猫にも同情したからかもしれない。
- 恐らく、人間の魂を食べることで完全に「人間を食べる」という目標を達成できるということを示唆した。
- また、人間を直接殺すことはできないので、魔女と契約して魔女に手をくださせるという方法を教えた。
- 想像だが、さしあたり黒猫は自分が殺した人間(恐らく父親)の魂を食べたかもしれない。
- その後、自分と同じように寒さに震える子供を見つけて魔女を作ったと考えられる。
- 例えば、エレンの場合と同様に、「暖かい家が欲しいなら人間を殺せ」等と唆したかもしれない。
- 最初の魔女ができるタイミングで既に魔女の家はあったと予想される。
- というのも、「魔女の家は悪魔が魔女に与えた魔法である」という記載があるため。
物語中の黒猫
- 黒猫はエレンと会ったときに初めて会ったように見えるが、エレンが黒猫を埋めたことを知っていた。
- このことから、かなり長い間エレンを観察していたことが伺える。
- さらに言えば、エレンを長い間観察していたせいで空腹になっていたのかもしれない。
- 黒猫は(遠くの地方に住む)エレンを魔女の家(のベッド)に転送する能力がある。
- 黒猫はゲーム中、よそ見をすると死ぬ部屋で「こんなところにいるのも、僕の仕事なんだよ」と言う。
- 素直に解釈すれば「家の仕掛けの一部になる(エレン(ヴ)を殺す)ことが仕事」という意味だと思われる。
- ただ、それ以外の場所ではむしろエレン(ヴ)に協力的(黒猫曰く「遊び」)だった。
- 間接的にとはいえ、エレン(ヴ)を害する行動をしたのは、このときだけである。
- 穿った見方をするなら、エレン(ヴ)を家に入るように促したときもそうかもしれない。
- いずれにせよ、「仕事」という表現の裏にどういう意味があるのかは解釈の余地がある。
- 黒猫は「エレンが居なくなると綺麗な猫の死体を見つけられないので不便」という発言をしている。
- このことから、エレンは森の中の黒猫の死体を集めていた(場合によっては殺していた)と考えられる。
カラス(の悪魔)について
- 黒猫は「僕たちは」という表現で、悪魔が生前から食人を好んだこと、彼らを絶望させることを好むと言及してる。
- カラスが悪魔になるときも、食人を好み、人間を絶望させたいと思う事実があったということになる。
- カラスは薬に関する魔法を使え、また、医療に関する知識がある。
- このことから、カラスは、薬や医療に関連する出来事の中で、上記のような事実を体験したのかもしれない。
- また、黒猫に「過保護だ」と言ったように、カラスは自身の魔女とはドライな関係なのかもしれない。
- 例えば、カラスは魔女を唆すようなことはせず、魔女の好き勝手にやらせる。
- 魔女もカラスの魔法やその使用だけに興味があり、カラス自体への関心は薄い。
- 完全に想像だが、カラスの魔女は、薬や医術によって人を殺していたかもしれない。
- 当時の風習から考えると、薬と見せかけた毒殺とか、瀉血で失血死させるといったことが考えられる。
- 人間を絶望に陥れるために、魔法を使って特殊な薬の作成や施術をしていた可能性もある。